興味のあることをきっかけに 株式会社玉川堂 白鳥みのりさん【後編】

社会人インタビュー第2弾!株式会社玉川堂に勤める、白鳥みのり(白鳥みのり)さんのインタビュー後編です!

前編では、白鳥さんが働かれている株式会社玉川堂の魅力と、白鳥さんと玉川堂の出会いが偶然のものだったということをお聞きしました。


後編では、白鳥さんが考える新潟の魅力などについてお聞きしました。最後には、学生に向けてのメッセージを頂きました。ぜひ最後まで読んでみてください!

新潟県内の様々な歴史と文化

仕事をする上で、白鳥さんが感じている新潟の魅力について教えてください。

私は、観光的な視点になりやすいんです。外から人がいらっしゃったときに、「今日これからお昼食べるんですけど、どこがいいですかね」とか、「明日、北上してあの辺行くんですけど、おすすめの場所どこですか」と聞かれるので、そういう(観光的な)ことを日常的に考えています。

そうしたときに、新潟って1つの県じゃないみたいだと感じます。地域によって文化・歴史・産業が違うから、それぞれ見どころがあっておもしろい。年代とか嗜好もあるとは思いますが、おもしろいところが多いと思います。

確かにそうですね。

私、村上が好きなんです。お城があって、武家屋敷もあって・・・。村上は燕と比べると、人の感じも産業も違うし、そもそも成り立ちから違うので、おもしろいなぁと感じますね。

村上はよく行かれるんですか?

よく行きます!
中学生の頃からよく行ってて、雛人形巡りには毎年行きます!

あとは、「燕三条の中でおすすめありませんか」っていうこともよく聞かれますね。
“ものづくりの街”って一括りにされることが多いのですが、それぞれの工場で、いろんなものを作っているんです。

例えば、銅器があって、爪切りがあって、包丁があって・・・と様々なものを見れるんですよね。

あと、(燕三条で)製品を買ったらだいたい普段から自分で使えるものじゃないですか。

例えば、たくさんの工程を経て作られたものが機械部品だったら、そこまで(モノづくりに対して)親密な感じにならないと思うんです。でも、自分でかつ長いスパンで使えるものが多いので、来てくださったお客さんにとっても「良いだろうなぁ」と思います。それを新潟の魅力というのかわからないですけど・・・。

十分、魅力といえると思います。私が行ったときはすごく楽しかったし、勉強になったし、とにかくいろんなことにすごく感動したんですよね。

工場見学では、何か1つを見るにも「ここにこれだけ手がかかっているのか」とか「こういうデザインになっているのか」とか、改めて発見する機会になると思います。

そうですね。
だからこそ、私が工場見学巡りをしたときには、このコロナっていう状況で「お話を聞けるはずだったのになぁ」っていうことがあり、残念でした。だから燕三条はもう一度行きたい場所のひとつです。

若い人はたくさんいると感じます!

では、現在の新潟県に対して感じる課題等があれば教えてください。

私は結局、どんな課題があるのか思いつかなかったんですよね。

私の周りは若者が多く、自分で会社をやったり、個人事業主だったりとかして「みんなすごいなぁ」と感じています。

1人知っていればその周りを知るから、多く見えるみたいなことはあると思いますが、それにしてもこの人口規模にしては多いなぁと思っています。

それは意外ですね!

コミュニティ的にも移住者が多いので、「みんなすごいなぁ」「若者がいっぱい来ているな」って感じます。

そうなんですね。
玉川堂に就職する人が前に比べて増えたというのを聞いたことがあるのですが、それもあるのでしょうか?

いや、玉川堂に就職する人は鍛金がやりたくてここに来ている人が多いんですよね。住みやすいとか面白いものがあるとかっていうことをあまり気にせずに入るんですよ。だから、ちょっと特殊な形の移住ですよね。

ほら、移住促進なんとかみたいな、自治体の魅力を言ってゲット!みたいな移住じゃないんですよ。

職人の街だけあって、本当に弟子入りみたいな感じで来るっていう人も、何人かいるみたいですよ。

へ~そうなんですね。

そういう職人弟子入り移住みたいなのは、もしかしたら1つのカテゴリーとしてあるのかなぁとは思います。

なるほど。
では、白鳥さんは、少なくとも白鳥さんの周辺に関しては若者が多くいるという風に感じているんですね。

そうですね。成田さんは新潟で若者が多いと感じませんか?

うーん・・・。
私は高校を卒業したばかりで、周りの多くの同級生が関東とか関西の大学に行ってしまったりと、新潟に残る人が少なかったんですよね。そのまま向こうで就職するんだろうなぁと勝手に思っているんですけど。そういうことを考えたときに新潟に残っている人は少ないのかなと感じていました

まあ、新潟って良くも悪くも外に出やすいところですよね。

そうですね。新幹線が通っていたりといろんなところに行きやすいですよね。

だから、私も高校の同級生みんな、新潟大学か東京のほうか、地方の大学に行く人もいましたが、やっぱり東京を目指す1つのトレンドはありましたね。

やっぱりそういうのがあったんですね。
でも、私は新潟県内の大学で、燕三条の技術をはじめとした県内の産業のすごさに気づいて、「絶対あの人たちは知らないんだろうな、可哀想!」っていう風には思ってますね(笑)

なるほど(笑)
学生として得られる体験はありますからね。でも、学生時代に1回県外に出て、社会人になって戻って来るパターンは結構ありますよね。

一方でやっぱり、(地元の)外に出ないとわからないっていうのも本当にその通りだと思っています。

私も大学で秋田に行って、外の人に自分の地元を紹介するっていう機会があったんです。そこで初めて、新潟の三条市ってどういうところで(白鳥さんは三条市出身)、一般的にはこういう産業があって、こういうものが名物で・・・みたいなものをその時初めて知ることになりましたね。
でも、いろんなパターンがありますよね。

私も、やっぱり1回外に出ることも必要なんだろうなとは思います。でも、もし新潟から出てたらこういう風にはならなかったんだろうなとも思いますし・・・。それはそれで複雑な気持ちになるんですよね。

万人にとって魅力的な所ってあんまりないと思うんですよね。

小学校・中学校と全部同じで仲良くしていた友達に、「この人はやっぱり東京が合ってたんだなぁ」っていう人はいるし、新潟でも東京でもないところで何かやっているけど、「この人にはそこが合ってたんだろうなぁ」っていう人もいますね。
みんなが故郷を背負わなくてもいいんだろうなぁとは感じますね。

そうですか・・・。そうですね、たしかに。

コロナ禍、若者通しのつながり・・・

では、新潟県にどんな可能性を感じていますか?

そうですね・・・。個人的な意見になりますけど、新潟って(東京から)程よい距離にあるじゃないですか。

そうですね。

毎日出社だと大変かもしれないですが、軽くリモートワークが入ってくるようなら、新潟から東京の会社に出勤することもできると思うんですよね。

そうですね、新幹線で2時間くらいですもんね。

それが毎日ってなると大変かもしれないですが、(週に数回なら)非常に便利な場所なんじゃないか!?と思います。

基本的には新潟にベースをおいていて、1か月に3分の1くらいは東京で仕事をしてっていう人は既にいるし、そういうのがもっと増えたら・・・。

それが新潟にとって一概に良いのかはわからないですけどね。どの辺に人口が集中するんだろうとか。新潟市はちょっと過密ですよね、中央区のあたりとか。どうですか?

中央区は確かに、過密な気がします。
新潟市だけで政令指定都市になっているじゃないですか。でも北区とか、少し中心から離れると、あまり人はいないと思います。

そうなんですね。
でも、ちょっと田舎っぽくても、新幹線1本で2時間くらいで東京に行けるのがいいなっていう人はやっぱりいるんじゃないかな。

たしかに。今後リモートワークが一般化されたとしたら、新潟県、特に新幹線が通っているあたりは住みやすいと私も思います。

ひとまず、もう少しコロナが落ち着いて気を付けながら外に出るのもOKってなったら、ちょっと遠出するっていうときに程よいところですよね。

そうですね(笑)

東海道新幹線沿いで動くのって、結局すごい人が多くいるところをずっと動いているじゃないですか。同じ新幹線でも、日本海側に来てしまえば・・・。「(日本海側も)いっぱい人いるだろ」って言う人もいるかもしれないですが、向こうとは比べ物にならないじゃない(笑)

だからちょうどいいんじゃないかなと思うんです。
(新潟県内で)レンタカーを借りれば、温泉や美味しいものがあって、古い建物が好きな人は古い建物もいっぱいあるし・・・。だからまず、住むより前に・・・

そうですね。とりあえず、来てほしい!

そうそう!

自分のことでいうと、少なくとも私の周りでは若い人同士で繋がりをもっていて、とはいえ内輪だけでやっている印象は無いんです。コミュニティ同士が繋がって、またそのコミュニティが広がったりといったことがすごく自然に起こっているような気がしています。だから、この先が楽しみです。

これがもし人が多すぎると、同じようなことをしている人たちがいろんなところにいて、「誰がどれをやっているのかわからない!」っていうことが起こってしまうと思うんです。そうではなく、みんなそれぞれ認知されつつ、ゆる~く繋がっている感じがいいなぁと。

確かに、若い人同士で繋がったら、何か新しいことが生まれるかもしれないですよね。

今後やっていきたいことと願望

では、白鳥さんが今後、やりたいことを教えてください。

玉川堂の仕事としては、私は現在いろんなことをやっていて、今後どういう役割になるかわからないですが、鎚起銅器(ついきどうき)とか玉川堂、その伝統とか歴史を、お客様をはじめ地域の方に良いイメージで繋げていければいいなぁと思います。

そのために「普段のことをちゃんとやります」ぐらいで、そんなに大きいことは考えていないですね。

結局、誰かがめちゃくちゃ頑張ったところでそれは本当にその人だけのことで・・・。いままでやってきたことは1つ1つの積み重ねで今になっているので、今後も1つ1つの積み重ねをやっていくしかないんだろうなと思っています。

なるほど。

個人的には、何でしょうね・・・。願望ですが、燕は本に対するアプローチが足りないと思っています。図書館が小さかったり、いわゆる店主さんが自分の好みで選んだ古本屋の様なものが無かったりするので、そういう場所があったらいいなぁと思います。

自分がそれに近いことを出来たらいいなぁって、別に古本屋になりたいわけではないんですけどね。あぁこんな本が、こんな世界があるんだ」みたいなことに触れられるような、別に家の本棚をみんな見ていいよ~ってするでも良いんですけどね。これは超個人的なこと。

素敵ですね。
燕市には図書館は沢山あるんですか?

市立図書館はあるんですけど、すごく規模も小さくて、なかなかアクセスが良くない感じ。

私も別に読書家っていうわけではないんですよ。でも、本の背表紙がブワァーって並んでいるのを見て、こんなテーマについて書かれた本あるんだっていう、大きい図書館で感じるああいうこと(をみんなに感じてほしい)。

やっぱりネットだと自分の欲しい情報しか出てこないじゃないですか。「それに危機感を覚えて」とおこがましいことは言わないですが、自分に全然関係ない情報がウワァーっと並んでいるのもいいなぁと

それは、他の人にも体験してほしいっていう・・・?

そうですね。

あなたが興味をもつことは?

では、最後に新潟県の学生に向けてメッセージをください。

新潟県の学生に向けて・・・、でかいですねえ・・・(笑)

すみません(笑)

今日受けた授業で話が出たんですけど、この学部でも大企業に勤めようと考えている人が多いと思うんだけど・・・みたいな話が出て、だから何だっていう話ではなかったんですけど・・・。

それは授業で?どういう切り口でそういう話になったんですか?

(日本における)中小企業数はこれくらいで、だけど、大企業数はこれしかなくて、みんなも大企業に行こうと思っているかもしれないけど・・・みたいな。

なるほど。マクロな視点でね。

そうです。
やっぱりみんな新潟には残らないのかなって、先生の話を聞いて思ったんですけど・・・。

なるほど。でも私は、「地方に生まれたからには故郷を背負って立たなきゃいけない」っていうのは呪いだと思っていて、みんながそうは思わなくても良いと思うんですよね。

今までとか、これから何かしていく中で「こういうものは残したいなぁ」とか「こういうことは残したくないなぁ」といったことが自分の興味の中で生まれてくると思います。

自分が結局どういうことについて気になっているのかなぁっていうのを、自分の興味のあることから決めていくのが良いんじゃないかなぁ

私もこの玉川堂に来たのは、少し地元に興味があったときに工場見学に来たことがきっかけで、「地域のことを私が何とかしなきゃ」って思ったわけではないんですよね。

自分にとって興味のあることなにかちょっと変えたいなって思うこと自分が何をしたいのかを考えるのは必要だと思うんですよね。

「外のことをよく見ましょう」ってよく言われますが、外のことを見たときに自分がどういうことを感じるのか突き詰めていったら良いんじゃないかと思います。
すごいなんか、偉そうに聞こえますけど(笑)

いやいや、そんなことないですよ!とても素敵なメッセージだと思いました。
今日はお忙しい中、取材を受けていただきありがとうございました!

※取材日2021年4月19日


編集後記

私は、今回の白鳥さんのインタビューを通して、いろんなことを学べたと感じています。
特に、『「地方に生まれたからには故郷を背負って立たなきゃいけない」っていう言葉は呪いだと思っている』という言葉が私にとって、とても強く印象に残ったパワーワードでした。
インタビューでも出てきたように、私の高校の同級生が割と、新潟県外に進学して、きっとそのまま向こうで就職するんだろうなぁと思っていました。でもきっと、白鳥さんのように何かの巡り合わせで帰ってくる人もいるかもしれないし、興味をもったことを追及して向こうで仕事に就く人もいてもいいんだなぁ、仕方ないよなぁと考えられる新たな視点から考えられるようになりました。
沢山のお話を聞くことが出来てとても楽しく、おもしろいインタビューでした。